これなに
毎日惰性で生きているけれど、そんな中でもこれは面白いなと思ったことについて、少し真剣に考えてみるポスト。
まえがき
先日、良記事を量産されている石ころさんとランチに行かせていただいた。自分のツイートや記事を見てくださっている(インサイト系というリストで監視しているらしい w)みたいで、誰かが見てくれているなら気が向いた時に発信してみようと思い、この記事を書いている。
最近もあいも変わらず、特に人に誇れることは何もしていない。ただただ APEX したり好きな配信をみたりしている。だからこそといっては何だが、そうやって暮らしているからこその考察を落としてみようと思う。以下は自分が最近おもしろいと思っていることについて。
Twitch チャンネルポイント
Twitch にはチャンネルポイントという機能がある。これは、チャンネルをフォローや視聴することによって得られるチャンネル内の通貨みたいなもので、Youtube にはない機能だ。
このチャンネルポイントを使って出来ることは以下だ。
- サブスクライブ限定のスタンプの取得
- コメントの強調
- その他クリエイターが設定したもの
- チャンネルポイントを活用した賭け
実際の活用例
実際に自分が見ている APEX 配信者はこの機能を活用している。
具体的には、チャンネルポイントを消費すると、ある特定の発言を配信内で言ってくれたり、APEX 内で一緒にカジュアルに行ったり、1 vs 1 をやってくれたりする。
また、僕が特に好きなのは、このポイントを活用した予想機能(チャンネルポイント予想)だ。
これは、配信者が設定した 2 つの選択肢に対して、リスナーが自分のチャンネルポイントを好きな数賭け、その結果に応じて、プールされたチャンネルポイントの総数が勝利サイドに分配される機能だ。
僕が見ている配信では、APEX で何位に入るか(3 位以内 or それ以下)だとか、何キルとれるかみたいな賭けをしている。
普段から配信で頻繁にキレている配信者のミラー配信をして、その人が今日キレるかキレないか、みたいな配信は最高に面白かった。今のはキレていたのか、キレていないのかリスナー同士で審議しあって最高だった。こういう賭けは何回でもやりたい。
何が面白いのか
このチャンネルポイント機能及び予想機能の面白さは 2 つある。
まず、視聴者と一緒にライブ配信が作られていく点。
従来のライブ配信は、配信者とリスナーで明確に立場の差があり、リスナーが配信に干渉出来るのは、あくまで配信者が求めた場合のみであった。
しかし、このチャンネルポイント機能を使うと、リスナーが配信というコンテンツ自体に積極的に干渉出来る。極論、codemiko のようにバーチャル空間で配信を行っている場合、配信画面それ自体に干渉するということも原理的には可能だと思う。また、賭け機能なんかは、それによって配信というコンテンツ自体が面白くなるのも最高に良い。
もう一つは、視聴すること(=ファンでいること)、それ自体に価値がつけられる点だ。
従来、ライブ配信を見るという行為は自分以外に対して価値を持たないただの怠惰なエンタメであった。それが、視聴することそれ自体にトークンという価値が付与されることによって、トークンを使うということが可能になった。今まで 1 人の中に内在していた価値が、他の人と交換したりするなどして、外界と接続するようになったのが非常に面白い。
切り抜きチャンネル
もう一つ、最近気になっているのは、配信者の切り抜きチャンネルだ。これは Twitch や mildom 他でライブ配信を行った際の、面白いポイントのみを抽出した数分の動画をアップロードするチャンネルで、基本的に有志のリスナーによって設立される。一番有名なのはひろゆきの切り抜きチャンネルだが、Vtuber や APEX 配信者などのゲーム配信者界隈では、ある程度有名になれば切り抜きチャンネルが作られるのはかなり一般的になっている。
多くの場合、有志によってスタートするこの切り抜きチャンネルであるが、ある程度の規模に到達すると収益化を行い、配信者と公認チャンネルとして収益を折半する形が一般的になりつつある。(ひろゆきの切り抜きチャンネルもこの形)
何が面白いのか
チャンネルポイントの面白さと似ているが、この切り抜きチャンネル開設も熱烈なファンでいることがそもそもの条件にある。なぜなら、熱烈なファンで居なければ、長時間配信の面白いポイントを探すことも理解することも出来ないからである。
これはすなわち、先程と同様に、ファンで居ることそれ自体に価値があり、配信を見るという行為に価値がつけられたとも言える。面白い。
もう一つは、こちらの場合、明確にクリエイターに価値を還元出来るようになったという点だ。
配信を見たことが無い層にとって、長時間配信を見ることは比較的ハードルの高い行為であるし、その人の面白さを短時間で理解するのは難しい。切り抜きチャンネルの場合、数分の動画でその人の面白さを理解出来る為、それがきっかけとなって配信を見に行くリスナーも増える。配信者の側からすると、コストをかけずに認知チャネルを拡大出来るので非常にありがたい。 また運営者と連絡をとって収益を折半することで、配信者は収入源を増やすことも出来る。
ただ、この切り抜きチャンネルには、難しさもある。
切り抜きチャンネルの難しさ
クリエイターにとっても、熱烈なファンにとっても、初見の人にとっても、三方良しの切り抜きチャンネルであるが、難しさもある。それは運営が有志活動によって行われるが故に、収益と PV が盗まれる可能性があるという点と、運営の持続性が低いことだ。
前者については、有志による切り抜きチャンネルが乱立した結果、ある配信者が自信の公式チャンネルにより動画化を行っている場合や、公認を与えている切り抜きチャンネルがある場合に、別の非公式・非公認チャンネルに PV が集まり、結果的に公認のチャンネルの PV が奪われてしまうリスクがあるということだ。
このリスクについては、該当する非公認チャンネルの削除を Youtube 運営に問い合わせることによって配信者が取り締まっていく形が一般的である。
後者については、運営が有志のリスナーによって行われる為、更新がストップしてしまう可能性があるという点だ。配信を長時間見ることも、動画を作成することも、リスナーの熱量に依るところが大きく、ある時よく見られていた切り抜きチャンネルの更新が止まってしまい、別のチャンネルが見られるようになるというのはよくあることである。
両者に共通する面白さ
Twitch のチャンネルポイントと切り抜きチャンネルに共通して面白いのはやはり、ファンと一緒に体験が創られていくことであろうと思う。
ファンで居るというそれまで自分以外にとって何ら価値を持たなかった行為に価値がつけられ、その価値がリスナー同士で交換されたり配信者に還元されたりしながら、循環していく。 上のように、あるコミュニティ内での価値に、トークンというラベル付けが行われることで、外界と接続したり、コミュニティの価値それ自体に還元されていくということは今後増々増えていくように感じる。NFT 起点のコミュニティなんかもそれに該当すると思う。
価値の大喜利なんて言葉をどこかで聞いた気がするが、これは要は、デジタルコミュニティの深化とそれに付随する活動の活発化でしか無いと思う。コミュニティあるところに価値ありという感じ。
つまるところ、いかにして深いコミュニティを創るか、そして、いかにしてそのコミュニティで欲しい物を発見出来るか。という時代になっていく気がする。
NFT みたいなものは、そのコミュニティとそれに付随する活動を、リアルな通貨と代替可能な PF 上に載せたというのが自分の理解で、Twitch のチャンネルポイントなんかはその一歩手前の段階というイメージだ。(例えば Twitch がチャンネルポイントによって、配信者の収益の一部を配当するみたいな仕組みにするともう一歩段階が進んでいくイメージ)
ブロックチェーンについてはあんまり詳しくないので、間違っていることがかなり多そうだけれど、ブロックチェーンが活用される素地は生まれつつあるというのが自分の肌感ではある。
通貨が中央集権性から開放されることのメリットは、交換の活発化によるコミュニティの深化なのかもしれない。贈与論関連の話で、人の所有というのはそもそも、人に渡すという意識が存在することに始まると聞いたが、デジタルな通貨(トークン)がもたらす効果もやはり、人に渡すことが出来るという意識からくる所有意識(=価値の誕生)ではないかと思ってきた今日このごろ。そもそも世界に自分 1 人しか居なければ、自分の家とか、自分のものという概念は存在しないよねーと。